婦人科
診療内容
子宮がん
子宮がんには、『子宮頸がん』と『子宮体がん』の2種類があります。
子宮頸がん
頸がんは子宮の入口(頸部)に発生します。発症は主に性行為によって感染する高リスクのヒトパピローマウィルス(主にHPV16、18型)が原因であることが分かってきました。HPVはごくありふれたウイルスで性行為経験者の80%は感染するといわれています。
多くの場合、感染は一過性ですが、一部が持続感染となり、そのうちの一部が子宮頸がんを発症します。体がんに比べ若年層に頸がんの発症率が高いです。
前がん病変(異形成)の時期は、症状がなく出血や痛みもありません。頸がんが進行すると不正出血やおりものに変化が出てきます。
子宮体がん
体がんは子宮の奥(体部)に発生します。体がんは、年齢を重ねるにつれて増加し、肥満、糖尿病など生活習慣病が危険因子になります。
子宮体がんで最も多い自覚症状は不正出血です。閉経後に出血がある場合は特に注意が必要です。また、少量の血が混ざった褐色のおりものがみられることもあります。
HPV検査
頸がんの原因となるHPVに感染しているかを調べます。子宮口から検体を採取しますが数分で終わり痛みもほとんどありません。
頸がん検査の際に採取した同じ検体を利用できるので、頸がん検査と同時に受けることができます。(一部保険診療で検査できます。)
液状化細胞診
液状化細胞診(LBC法)とは、子宮頸部細胞診の検査方法の一つで、採取した細胞を専用の保存液で回収保存し、その後専用の機器を用いて塗抹標本を作製して、細胞診検査を行うものです。
従来の方法と比較し、より精度が高く、日本産科婦人科学会やがん検診学会等で推奨されている検査方法です。
従来法検査と
液状化細胞診(LBC法)の違い細胞の採取方法は同様ですが、採取した細胞を直接スライドガラスに塗布する「従来法」と比較し、「液状化細胞診」では、採取したブラシごと容器に入れるため、採取した細胞をほぼ100%回収することができます。
また、「液状化細胞診」検査法では、血液や粘液などの不純物を取り除いた上で標本化されるので、異常細胞が発見しやすくなります。
従来法
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細胞を採取
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スライドガラスに
塗布 -
観察しやすい
標本が作成できる
液状化細胞診
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細胞を採取
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専用容器に回収
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不純物を取り除き
スライドに塗布 -
観察しやすい
標本が作成できる
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮筋層に発生する良性腫瘍です。月経困難症と月経痛、過多月経などを発症し出血量が多いと貧血になることもあります。
子宮筋腫は、筋腫の育つ場所によって異なり子宮内膜に顔を出す形で発育する「粘膜下筋腫」は、サイズが小さくても症状が強く出やすいです。
それに対して子宮内膜に顔を出さず外側に発育する「漿膜下筋腫」は、症状が軽く、そのため大きくなるまで気づかない場合があります。
筋腫は1つだけではなく複数できることが多いです。筋腫の大きさはさまざまで、赤ちゃんの頭くらいにもなることもあります。治療は、筋腫の変化を確認する「経過観察」、女性ホルモンの分泌を止める「薬物療法」、そして「手術療法」があります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来子宮内腔にのみあるべき子宮内膜が、腹膜や卵巣、子宮筋層内など子宮内腔以外の場所に広がり増殖する病気です。月経周期ごとに広がった子宮内膜組織が増殖、剥離を繰り返し、月経血はその場にたまり生理痛、腹痛、下腹痛の原因となります。子宮筋層内で増殖すると子宮が腫脹し、サイズが大きくなります。これを子宮腺筋症といいます。
また卵巣に月経血がたまり、卵巣嚢腫となったものをチョコレート嚢腫といいます。
治療は、女性ホルモンの分泌を止める「薬物療法」、そして「手術療法」があります。
卵巣腫瘍
卵巣は子宮の左右に1つずつあり、ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍です。卵巣腫瘍には、「良性腫瘍」と「悪性の腫瘍(卵巣がん)」があります。多くは良性腫瘍ですが、内診、超音波検査、MRI検査で診断します。良性腫瘍で大きさがそれほどでもなければ、検査をして経過観察をします。腫瘍が大きくなりほかの臓器を圧迫して腹部膨満感や腰痛、便秘や頻尿などの症状が出たり、茎捻転や破裂の恐れが生じた場合は手術の対象になります。
卵巣がんは「サイレントキラー」と言われており、初期症状がなく、自覚症状が出たときにはすでに進行がんになっていることが多いのです。
初期の卵巣がんの発見には経腟超音波検査が大変有効です。早期の卵巣がんは手術による根治が十分期待できます。
月経困難症
生理痛が非常に強くなる病気です。頭痛、腰痛、下腹部痛に吐き気、下痢などの症状を伴います。月経困難症には、子宮や卵巣に一見異常がみられない「機能性月経困難症」と、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因で痛みが引き起こされる「器質性月経困難症」があります。
月経困難症は若い女性に多くみられ、日常生活に支障をきたす事もあるほか、月経困難症は子宮内膜症のリスク因子となります。
治療は大きく鎮静薬、漢方、ホルモン剤等、検査をした上で治療方針を決めていきます。
月経前症候群(PMS)
月経が始まる3~10日ほど前から身体的(下腹部、腰の痛み等)、精神的(イライラ、不安感、抑うつ等)に現れる不快なさまざまな症状です。これらの症状は月経が始まると改善するのが特徴です。症状の程度は軽度なものから重度なものまでさまざまですが、日常生活に支障がある場合はPMSと診断します。
状況に応じて治療は漢方、ホルモン剤などを処方します。
月経不順
通常、月経は25日~38日周期で起きますが、月経周期がこの範囲より短くなったり(頻発月経)長くなったり(稀発月経)することを月経不順といいます。いずれのケースも排卵障害やホルモンに問題がある場合がありますので、検査をした上で治療方針を決めていきます。
「無月経」「過多月経」「過少月経」などもお気軽にご相談ください。
腟炎
腟炎は、腟の粘膜に炎症が起こることをいいます。また、外陰部の炎症を伴うこともあります。
さまざまな原因で腟内の環境が乱れることで細菌や真菌(カビ)などが増殖し炎症を引き起こします。
腟炎の種類と症状
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細菌性腟炎
腟内には、乳酸菌(善玉菌)が常在しています。乳酸菌は腟内を弱酸性に保ち、腟内の細菌感染を防ぐ働き(自浄作用)があります。ところが、何らかの理由(免疫低下、女性ホルモンの乱れや低下等)で大腸菌やぶどう球菌、溶連菌などが増殖するなど腟内環境が乱れると炎症を引き起こします。
また、デリケートゾーンの洗いすぎによって乳酸菌(善玉菌)まで洗い流してしまい腟内の自浄作用が落ちて雑菌が増殖したりすることもあります。主な症状
かゆみ、おりもの異常、におい等
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カンジダ腟炎
体内にもともとあるカンジダと呼ばれる真菌(常在菌)が何らかの理由で増殖することによって炎症が生じます。
主な症状
かゆみ、カッテージチーズの様な白いおりもの等
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萎縮性腟炎
閉経により女性ホルモンの分泌低下による腟の萎縮や炎症です。
主な症状
腟の萎縮や乾燥による、痛み、ヒリヒリ、灼熱感、性交痛など
性感染症
性感染症はSTIと呼ばれます。今、若い人たちの間にクラミジアや淋菌などの性感染症が広がっています。
性感染症は気がつかない間に体を蝕み、あなたとパートナーだけでなく、将来の赤ちゃんにも悪い影響を及ぼします。
性感染症の種類と症状
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クラミジア感染症
最も感染者が多い性感染症です。特に若い方に多く、症状を感じないこともあるので、パートナーへ移してしまうことがあります。女性が感染したまま放置すると不妊症や子宮外妊娠の原因にもなりかねません。
主な症状
おりもの増加、おりもの異常(色やニオイ)、不正出血、下腹部痛等
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トリコモナス腟炎
トリコモナス原虫が腟に感染して炎症を起こす性感染症です。性行為だけではなく、タオル、便器、浴槽での感染の可能性もあります。
主な症状
おりもの異常(黄色から緑色)、泡状のおりもの、ニオイ、強烈なかゆみ、排尿時痛等
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淋菌感染症
性行為により淋菌という細菌に感染する性感染症です。「淋病」と言われています。
主な症状
子宮頸管炎、尿道炎、おりもの異常、かゆみ等
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性器ヘルペス感染症
単純ヘルペスウイルスが性行為によって感染する性感染症です。初感染は症状が強く、一度感染するとウィルスが体内にとどまり生涯くり返し再発する可能性があります。再発率は6~7割と言われている厄介な病気です。
主な症状
性器の痛み、かゆみ、水ぶくれ、そけい部リンパ節腫れ等
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尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV6,11型)が性行為によって感染する性感染症です。性器の摩擦により皮膚や粘膜にちいさな傷ができた際に、HPVが侵入して感染します。
主な症状
外陰部や肛門周辺にちいさなイボや突起、かゆみ等
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梅毒
梅毒トレポネーマが性行為によって感染する性感染症です。性器などの粘膜や皮膚から感染します。近年増加傾向にあります。
主な症状
外陰部にしこり、潰瘍、そけい部のリンパ節腫れ等
緊急避妊
緊急避妊とは、妊娠を望まないセックスで、たまたまコンドームが破けたなど妊娠の可能性が生じてしまった場合、妊娠の成立を防ぐために緊急に行う避妊法のことです。性交後72時間以内に避妊用のホルモン剤を服用して妊娠を阻止します。妊娠中絶は心と体に大きな傷を残します。性交直後なら緊急避妊という方法があることを知っていてください。
避妊用のホルモン剤は、従来より用いられていたプラノバール錠と、後から開発されたレボノルゲストレル錠を用意しています。プラノバール錠は妊娠阻止率が50~60%で、レボノルゲストレル錠は80~90%といわれています。(出典:あすか製薬)来院されたら、ご説明のうえ、処方いたします。
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<副作用>
レボノルゲストレル錠
頭痛、傾眠、不正子宮出血、月経遅延、月経過多、等
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プラノバール錠 悪心、嘔吐、食欲不振、血栓症、等
自由診療
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緊急避妊(レボノルゲストレル錠)1回服用
ノルレボ錠のジェネリック薬です。
9,000円
尿検査、超音波検査含む
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緊急避妊(プラノバール錠)
2回服用従来のお薬です。
5,000円
尿検査、超音波検査含む
- 別途診察料はかかりません。
低用量ピル処方
当院では望まない妊娠を防ぐため、低用量経口避妊薬(OC)を用意しています。正しく服用すれば避妊の働きがあります。
OCを服用すると避妊の働き以外に多くの効用があります。主な効用としては、月経が規則正しくなる、過多月経、月経痛が改善される、ニキビ吹き出物に働きがある、などです。
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<副作用>
吐き気、胸のはり、頭痛、下腹部痛などがありますが服用して3カ月以内に大部分が治まります。稀ですが重篤な副作用として血栓症があります。喫煙によりおこりやすくなるため、当院では喫煙している人には処方はいたしておりません。
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<低用量ピルの慎重投与~服用禁忌の方>
下記の項目に該当される方は服用を控えてください。
- 高血圧
- 喫煙
- 肥満
- 高年齢(40歳以上は慎重投与)
- 糖尿病
- 妊娠・授乳中
- 手術前・手術後
- 肝機能障害
- てんかん治療薬など服用中
- 前兆のある片頭痛
自由診療
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初診料
2,000円
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再診料
1,000円
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超音波検査
5,000円
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血液検査
(肝機能、腎機能、脂質、貧血)
4,000円
6ヶ月に1回
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子宮頸がん細胞診
3,500円
1年に1回
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D-ダイマー
(血栓症検査)
3,000円
随時
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ラベルフィーユ28(アンジュのジェネリック)1シート
2,500円
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ファボワール28(マーベロンのジェネリック)1シート
2,500円
初回処方時には必ず超音波検査、血液検査、子宮頸がん細胞診を実施いたします。
ただし、他院の検査結果があれば代用できますのでご持参ください。
月経調整
服薬(プラノバール錠)による月経調整です。生理予定日の3~4日前から1日1回1錠を服用し、生理を止めたい日にちまで服用し続けるタイプです。
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<副作用>
吐き気、嘔吐、頭痛、乳房痛、等
自由診療
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診察料
1,000円
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プラノバール錠
3,000円
子宮脱
子宮は骨盤の支持組織によってつり下げられて、正常な位置に置かれていますが、その支持組織が弛緩すると下がってきて、腟口から脱出する状態になります。この状態が子宮脱です。
子宮の前方には膀胱があり、後方には直腸があって子宮が下がると同時にこれらの臓器も一緒に下がってきます。すなわち、膀胱脱、直腸脱が同時に生じてきます。骨盤の中に周囲の臓器が脱落することから骨盤臓器脱と呼ばれています。
手術療法が根治療法ですが、リング・ペッサリーを挿入して子宮の位置を整復する方法があります。リング・ペッサリーの挿入は外来で簡単に行うことができます。
ブライダルチェック
当院ではブライダルチェックを行っています。
内容は子宮頸がん検査(HPV-DNAによるウイルス検査を含む)、クラミジア、風疹抗体、B型肝炎、C型肝炎、HIV(エイズ)、梅毒、トリコモナス、カンジダ、淋病、超音波診断装置による子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍の検査、その他、貧血、肝機能等の基本血液検査
を行います。子宮卵巣に関する主な病気がスクリーニングできます。
結婚前の方、新婚の方のみならず多くの方に婦人科健診としてお勧めいたします。
診断後は、結果の診断書をお渡しいたします。
自由診療
所要時間40分
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ブライダルチェック一式
子宮頸がん健診(LBC法)
HPV検査
クラミジア
風疹抗体
B・C型肝炎
HIV検査
おりもの検査(トリコモナス、淋菌)
超音波検査(子宮、卵巣の確認)
血液検査一般32,000円
- 別途診察料はかかりません。
- 検査結果は後日来院していただき、説明いたします。
当院は完全予約制です。
ネット予約では受診希望日の45日前から予約可能、
24時間受付しています。ネット予約でお困りの方、突発的な症状による予約のご相談はお電話にてお願いします。
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診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00〜11:00 | ● | ● | ● | / | ● | ● | / |
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随時
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15:00〜17:30 | / | / | ● | / | ● | / | / | / |
休診日:木曜日、日曜日
午後休診:月曜日、火曜日、土曜日
完全予約制ですので、事前のご予約をお願いします。
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